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土星探査機「カッシーニ」は22回もの輪くぐりを目指す 超精密な飛行を支えるエンジニアたちの苦闘

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土星探査機「カッシーニ」は22回もの輪くぐりを目指す 超精密な飛行を支えるエンジニアたちの苦闘

どのくらい細かいのだろうか? まず、チームはカッシーニの3つのリアクションホイールを動かした。これは、燃料を消費することなく探査機の向きを変える方法である。これによって彼らは、メインエンジンより小さく、ヒドラジンを燃料とするRCSスラスターを正しい方向へと向けた。そのあと彼らは、カッシーニを約24m移動するようRCSスラスターにシグナルを送った。

カッシーニの飛行ルートを示した図。軌道を少しずつずらしながら22回土星の輪をくぐっていくのが、水色の線からみてとれる。IMAGE COURTESY OF NASA/JPL-CALTECH

この微調整は実行の何週間も前から念入りに計算され、4月の最初の輪くぐりの前に行われた。しかし実は、これは5月に行われた3回目の輪くぐりの軌道を修正するためのものだったのである。これがこうした“曲芸飛行”の難しいところなのだ。早めに対処しておかないと、小さな問題が大問題になるのである。

そして5月10日、彼らは再び同様の操作を行った。今回の操作は、13回目の輪くぐりを成功させるためのものだ。「大気や輪の非常に近くまで行くので、心配事が多いのです」とヘルナンデスは言う。

今回の調整で、彼らはまずカッシーニがコマンドをすべて正しく受信できるよう長距離アンテナをまっすぐ地球へと向けた。再びリアクションホイールを使って、カッシーニは45分の移動のなかで2回ターンする。位置によってはコマンドがカッシーニに届くまでに1時間半以上かかる場合もあるため、これらのシーケンスはすべて事前に設定されている。最後に、アンテナを地球とは逆向きに120度回転させる。そして再びRCSスラスターの噴射が行われる。

こうした精密な飛行は、正確なデータを確実に得るために行われる。正確なデータとは、素晴らしい画像はもちろんのこと、土星の輪を構成する粒子のサイズやその成分、それらの物質がどこから来たかについての新たな情報である。

カッシーニは、9月15日に惑星に突入する「グランドフィナーレ」まで土星を周回し続ける。「カッシーニは、土星周回の最後にもう1度だけタイタンに接近するんです」とヘルナンデスは言う。「そして、タイタンに軽くひと押ししてもらうのです。このサヨナラのキスが、カッシーニが大気に突入するための最後のひと押しになります」。もちろん、カッシーニは土星への下降中にもデータを収集するのだ。

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