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医療的ケア児への付き添い要求は「障害者差別」 自治体に330万円の慰謝料求め提訴

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医療的ケア児への付き添い要求は「障害者差別」 自治体に330万円の慰謝料求め提訴

 たんの吸引など日常的に医療行為の援助が必要な子供(医療的ケア児)を巡り、教育委員会や学校が集団登下校や遠足への保護者の付き添いが必要だとしたのは、障害を理由とした差別を禁じた障害者差別解消法に違反するなどとして、愛知県内の公立小に通う男児とその両親が12日までに、地元自治体に計330万円の慰謝料を求める訴訟を名古屋地裁に起こした。

 医療技術の進歩もあり、医療的ケア児は増えている。平成27年度に全国で約1万7千人と推計され、特別支援学校以外の学校に通う人数も増加。ケアを巡る学校対応を問う訴訟は異例で、ケア児の保護者らの関心を集めそうだ。

 訴状などによると、男児は生後間もなく、気管が狭くなる「声門下狭窄症」と診断され、気管を切開。気道を確保するチューブを喉に挿入しているため、1日に数回、吸引器具でたんを取り除く必要がある。

 学校側は吸引器具を保護者が毎日持参して持ち帰ることを求め、母親は4年以上にわたり実行。また昨年度までケアを実施する支援員を1人しか配置せず、「支援員が途中で倒れるかもしれない」などの理由で遠足や校外学習への付き添いも繰り返し要求、「できないなら欠席か特別授業」などと言ったこともあった。

 「切開部に水が入ると危険」として水泳の授業にも参加させず、保護者側が他校で同様のケア児が参加していることを伝えても、「うちはうち」「普通学級だから特別扱いしない」などと拒否。28年まで参加できなかったという。

 また、保護者の相談を受けた愛知県教委が昨年9月、「『医療に関わるアクシデントが起こるかもしれない』との不安を理由に登下校中の付き添いを求めたのなら問題がある」と指摘、地元教委と学校に解決策を検討するよう指導したが、姿勢は変わっていないという。

 保護者側は、一連の対応が、障害の程度に応じて社会的障壁を除去する「合理的配慮」を自治体などに義務付けた障害者差別解消法に違反すると主張。吸引器具の確保は合理的配慮の提供に当たるとして、自治体側が用意することも求めた。

 自治体側は「コメントできない」としている。

 提訴は今年7月13日付。今月13日に第1回口頭弁論が開かれる。

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