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【石野伸子の読み直し浪花女】小松左京・不滅のSF魂(1)トランプ大統領誕生40年前に「予言」 復活の日、さよならジュピター…

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【石野伸子の読み直し浪花女】
小松左京・不滅のSF魂(1)トランプ大統領誕生40年前に「予言」 復活の日、さよならジュピター…

旺盛な好奇心で多彩な活動を展開した小松左京 旺盛な好奇心で多彩な活動を展開した小松左京

 昨年復刊された短編集「アメリカの壁」の標題作「アメリカの壁」は昭和52年に発表された短編だ。

 ある日突然、米国の上空に分厚い霧の壁ができ、世界からの通信が途絶える。孤立する大国。しかし、時の大統領はベトナム戦争などで疲弊した国民に支持されたモンロー主義者で、なにやら陰謀のにおいがする。

 世界との通信が途絶えて2カ月。時の大統領が演説する。

 「この奇妙で不幸な孤立状態にわれわれは挫けたり感情的になったりしてはいけない。孤立状態はいつまで続くか誰にもわからない。しかし、アメリカには充分広大な国土があり、まだ未発見のゆたかな資源がある。つい三カ月前にもフロリダ沖で中東油田に匹敵する大油田が発見されたではないか」

 「ほかの世界から孤立させられてもアメリカはなお未来をきりひらく力をもっている。アメリカは生きのびる」

 アメリカンファーストを訴え国民を鼓舞する大統領。これはまるで現代アメリカに誕生した新大統領ではないか。分厚い霧の壁はそのまま、メキシコの壁ではないか。

 ネットで話題が広がり昨年2月にまず電子書籍でリリースされ、その反響が大きかったことから本での復刊となったという。

 復刊した短編集「アメリカの壁」で文庫解説を書いた小松左京の次男で、著作権管理事務所「小松左京ライブラリー」(神戸市)を運営する小松実盛さん(54)はこう言って笑う。

 「小松左京は根っからの心配性。いろんな網を仕掛けては極端な危機的状況を設定し、そこをどうクリアするかというシミュレーション作品を数多く書いた。だから、世界で起こるさまざまな危機にシンクロしてしまうのです」

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