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【夏の甲子園決勝】金足農、エース吉田輝星…強気の投球昔から、父や先輩がスタンドで見守る

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【夏の甲子園決勝】
金足農、エース吉田輝星…強気の投球昔から、父や先輩がスタンドで見守る

試合に敗れ、悔しそうに引きあげる吉田輝星(中央)ら金足農ナイン=甲子園球場(佐藤徳昭撮影) 試合に敗れ、悔しそうに引きあげる吉田輝星(中央)ら金足農ナイン=甲子園球場(佐藤徳昭撮影)

 「最高の仲間、最高の夏でした」。試合終了後、誰よりも目を赤くしていた金足農のエース、吉田輝星(こうせい)。秋田県予選から決勝の途中まで1人で投げ抜き、快進撃の中心にいた豪腕の夏は、チームメートへの感謝の思いとともに終わった。

 吉田の父、正樹さん(42)には忘れられない思い出がある。幼い頃、自宅の庭でキャッチボールをしていた際、ふざけて横投げをする吉田を「真剣にしないなら相手をしない」と厳しく注意した。吉田は涙を流したが、その後も強気な表情で黙々と父の胸にボールを投げ続けた。「気持ちが強い子なのかも」と思ったという正樹さん。甲子園で全国の強豪相手に6試合、計881球を投じた吉田の原点だ。

 中学時代は「身近な仲間と野球をしたい」と、硬式のクラブチームではなく、地元中学の軟式野球部に入部した。しかし目立った成績はあげられず、全国大会には出られないまま部活を引退。その後、硬式球に慣れるために入ったシニアチームで一緒だったのが現在のチームメートの打川和輝や菊地彪吾(ひゅうご)だった。「一緒に金足農に行こう」。吉田は多くの仲間を誘っていたといい、快進撃を見せたチームの土台は、この頃から完成されていた。

 実は、正樹さんも金足農野球部OB。母親のまゆみさん(41)は「父の母校で甲子園に出たいという秘めた思いはあった」と明かす。

 1年生の秋でエースナンバーを背負った吉田。球速もめきめきと上昇したが、県立で全員が地元、秋田県出身のチームは、途中まで吉田の“ワンマン”チームでもあった。「春は吉田に頼っていた部分があった」と主将の佐々木大夢。しかし、仲間と厳しい練習を乗り越え、最後の夏に聖地への切符を手にした。佐々木が「夏までに一人一人が成長して、バックを信じて吉田も投げてくれていたと思う」というように、大会では試合ごとに日替わりのヒーローが生まれ、課題の“吉田頼み”も脱却した。

 物おじしない性格は、大会中も大いに発揮された。昨年まで金足農で吉田とバッテリーを組んでいた会社員の安田広郎(ひろお)さん(18)によると、先輩捕手に対しても「直球で勝負したい」と堂々と主張。その強気な姿勢は最大の武器だ。安田さんはこの日、スタンドで観戦。「自信のあるボールで大阪桐蔭打線に真剣勝負を挑んでいた。吉田らしい」と変わらない姿に目を細め、「もっと成長して高いレベルを目指してほしい」と、次のステージでの活躍を期待した。(桑波田仰太)

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