産経WEST

【夕焼けエッセー】臨海学校 

産経WEST 産経WEST

記事詳細

更新

【夕焼けエッセー】
臨海学校 

 今から60余年前、夏休み前になると近くの川に行き、上級生の指示で川掃除をして泳いでいた。その中で1日だけ、学校から臨海学校と称して、4年生以上に限って海に連れて行っていただく日があった。行けるかどうかの検査もあった。校医先生の前の椅子に座り、木槌(きづち)で膝をたたかれる脚気(かっけ)の検査、あかんべえをして診てもらう眼の検査など…。終了後、海に行ける者の発表があって、仲よしが行けると喜び合ったりした。

 当時は石炭列車で、トンネルに入る前、汽笛が鳴る。ワァーといって窓をしめる。しめるのが遅れると車両の中は煙でいっぱいで、咳(せき)しきり。そんな道中も楽しかった。海水浴場に着いて着替え。今のような水着は少なく、男子はパンツ、女子はシミーズが主であった。そして、泳ぐというより、波とたわむれ、ワアワアとはしゃぐひととき。もぐったり、貝を足で探ってとったり、波のりをするなど大はしゃぎの1日だった。

 帰りの列車は、遊び疲れて、列車がトンネルに入っても、行きとはちがいさわがず、眠っている者が多かった。

 今、孫が3年生。学校のプールで、30メートルぐらい泳げるようになったとよろこんでいた。私は、どのくらい泳ぐことができたんかな。夫は、私と同じく、川で泳いでいたが、長い距離を泳ぐことができた。夏になると、子供の時は… 泳ぐ距離は… など話してきたが、今話す相手は、孫だけになってしまった。

日原智子(76) 兵庫県朝来市

「産経WEST」のランキング