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ピカッと来たらおしまい-終戦前日に空襲、軍需工場で間一髪…仲間ら犠牲、阪大名誉教授「戦争は人を狂わせる」

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ピカッと来たらおしまい-終戦前日に空襲、軍需工場で間一髪…仲間ら犠牲、阪大名誉教授「戦争は人を狂わせる」

 73年前の終戦の前日、山口県の軍需工場に米軍による空襲が加えられ、約130人の学徒動員を含む738人が命を落とした。当時、この工場に学徒動員され間一髪で命をつないだ中田篤男・大阪大名誉教授(88)=大阪府豊中市=は戦後、生物学者となり、世界から注目を集めるゲノム編集技術の原点を発見した。「なぜあんなことをしたのか」。大勢が決するなかで無慈悲に仲間の命を奪った米軍への疑問は、今も消えない。(細田裕也)

終戦前日の8月14日に米軍の空襲を受け、骨組みだけになった山口県光市の「光海軍工廠」=昭和20年8月(市教育委員会提供) 終戦前日の8月14日に米軍の空襲を受け、骨組みだけになった山口県光市の「光海軍工廠」=昭和20年8月(市教育委員会提供)

危機一髪

 「ドカーン!」。昭和20年8月14日、山口県光市にあった「光海軍工廠(こうしょう)」の寮に爆音が鳴り響いた。

 生まれて初めての空襲に、中田さんは慌てて寮の庭の防空壕(ごう)に駆け込んだ。寮の川向こうの工廠付近から聞こえる数回の爆撃音の後、「爆撃が近づいてきている。山へ逃げろ!」。寮の職員が叫んだ。

 数日前、「ピカドン」と呼ばれる新型爆弾が広島と長崎に落とされたことは知っていた。「ピカッと来たらおしまいだ」。山に隠れながら、恐る恐る様子を確かめた。次々と飛来するB29爆撃機。飛行ルートをなぞるように投下された爆弾が次々と炸裂し、「仕掛け花火を見るようだった」。

 爆撃機は、工廠で製造されていた高射砲の弾も届かない、はるか上空を飛んでいた。「戦争とはそんなものなのか」。無力さがにじんだ。

 翌15日、工廠の焼け跡には遺体が並び、「首と体がねじれたままの人もいた」。その日夜に敗戦を知ったが特別な感情はなく「やっと終わったか」と思っただけだった。

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