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【夕焼けエッセー】黒出目金から赤出目金に

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【夕焼けエッセー】
黒出目金から赤出目金に

 平成27年の大阪天神祭で金魚すくいをした孫が、14匹の金魚をもらってきた。そのうちの3匹が黒出目金(でめきん)であった。

 私が孫からゆずり受けて飼うことになった。飼い始めて8カ月目のことだった。1匹の黒出目金の口に小さな赤点があるのを見付けました。赤点は人間で言えば黒子(ほくろ)のようなものだと決めながら観察をしていると、赤点は腹とか尾とかひれにも現れ始めた。

 黒子であれば生まれたときからあるものと思い込みながら、病気でないかと様子を見ていると、どうやら病気でないような赤点、変化の早まりに楽しみが増してきた。

 日がたつにつれて口、腹、尾にある赤点がさらに大きくなり始めた。黒出目金に赤点が現れ始めたのを見付けた妻は「この黒出目金、もしかしたら赤出目金になるかもしれへん」と赤点を指差しながら笑って言った。

 赤点が大きくなり始めて3カ月目になると腹のあたりに富士山のような模様ができた。このまま赤点が広がらない方が格好がよいのになと思っていると、3分の2が赤くなってさらに3カ月がたつと完全に赤出目金になった。これまで多数の金魚を飼ってきたが、色が変化したのはこれが初めてであった。

 平成30年の今年は、体長12センチ程で優雅に泳ぐ姿を花にたとえれば、腹周りはふっくらとぼたんのごとく、尾びれは百合のごとく揺れ動き、全体は均整のとれたしゃくやくのようで、自慢のできる赤出目金となった。

竹中昇(79) 大阪市城東区

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