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【夕焼けエッセー】魔法の目薬

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【夕焼けエッセー】
魔法の目薬

 花粉症に悩まされて買った目薬が、もうすぐなくなる。症状はおさまったのだが、もったいないので、いつまでも使っている。用途が違う、とつっこまれそうだが、一応目薬なので差して目がおかしくなることはないだろう。そういう浅い考えと、「ま、私自身が使っているのだから」という自己責任で。

 さて、この目薬は、普通の目薬とはひと味もふた味も違う。差した瞬間から、ぱあっと爽快感が広がり、まぶたを閉じたときに自分が今どこにいるのかを忘れる。まるで、森の中でマイナスイオンをたっぷりと浴びているイメージが私を包む。木々の隙間から、光が幾重にも重なり、小鳥たちも喜びのハーモニーを奏でている。花は咲き、チョウチョたちも優雅に舞っている。ここは、楽園?

 目を開けると、現実世界が待っているのだが。心なしか頭がスッキリしたような感じがする。目薬で仕事の区切りをつけたせいかもしれない。気合が、エネルギーがみなぎってくる。

 「よおしっ、やるぞ」

 もちろん、個人の感想だ。

 実は、この目薬、1500円もした。思い切って買ったのである。今まで、500円以下を買っていたので、3倍もするこの目薬に完全に踊らされていたようだ。

 舞っていたのは、チョウではなく自分の頭かもしれない。

 田原智子(46) 大阪府門真市

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