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【関西の議論】中国産「漆」に待った 日本の宝は国産で守る…発祥の地、奈良・曽爾(そに)村の挑戦

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【関西の議論】
中国産「漆」に待った 日本の宝は国産で守る…発祥の地、奈良・曽爾(そに)村の挑戦

不安定な足場の上で行われる漆の採取作業=昨年9月、奈良県曽爾村(漆ぬるべ会提供) 不安定な足場の上で行われる漆の採取作業=昨年9月、奈良県曽爾村(漆ぬるべ会提供)

 道のりは平坦(へいたん)ではなかったが、これまでに千本を超える植樹を行い、どうにか200本程度が残った。同会の松本喬(たかし)会長(70)は、「数え切れない失敗を繰り返して、最近やっと漆に適した土地の条件が分かってきた」と話す。

 28年、ついに漆の採取作業「漆掻き」をスタート。昨春には地域おこし協力隊の並木美佳さん(29)がメンバーに加わり、若い力で活動が本格化した。

 漆掻きは木の幹を刃物で傷つけ、木がその傷を癒そうとして自ら出す樹液を採取する地道な作業で、これまでに採取できたのは約800cc(牛乳瓶約4本分)。ごく少量とはいえ、念願だった村産漆であることは紛れもない事実だ。

輸入97%、増産急務

 村が漆の復興にこだわるのには、もう一つの理由がある。国産漆の減少だ。

 化学塗料や安価な外国産に押され、漆は生産量が激減。農林水産省の統計では、28年の国内消費量約44トンのうち、国産は約1・2トン。97%が中国などからの輸入に頼っている。

 国産漆の減少は、国宝や重文建造物の保存修理にも大きな影響を及ぼす。文化庁によると、国産だけでは足りず、昭和50年代ごろから、やむを得ず中国産漆を混ぜて使ってきたという。

 だが、文化庁は「文化財は本来の資材・工法で修理することが文化を継承する上で重要」との方針を打ち出し、平成27年には「国宝・重文建造物の保存修理には100%国産漆を使うことを目指す」と発表した。そのためには長期的に年間平均2・2トンが必要と推計されており、増産が急務となっている。

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