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【夕焼けエッセー】48歳の学生

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【夕焼けエッセー】
48歳の学生

 48歳にして、この春、学生になった。長年気ままな自由業だった私。決まった時間に起き、通勤ラッシュの超満員電車、連日深夜まで宿題に追われる日々は、心身共に疲労困憊(こんぱい)。

 語学の学校なので、発音は外国人の先生に毎回厳しくチェックされ、できるまで何十回でもやり直し。おまけに、アナログに徹してきた私が、iPadを使っての授業や宿題!使い方を、夫にレクチャーしてもらうも、4月中は「なんでそんなこともできないんだ」と怒られ続けた。

 仕事は減らしたが、家事はこれまで通り。タテの物を横にもしない夫と娘にイライラ…自分でもストレス溜(た)まってるな、ヤバイなと思っていたとき。

 久々に帰省した大学生の息子に、夫と娘に関する鬱憤(うっぷん)を涙を流しながらぶちまけてしまった。「男にも更年期があるらしい。お父さんのことは困った息子くらいに思えば」。夫は夫で「お母さんとの生活がしんどい」と息子にボヤき、「更年期の女性のイライラは、わがままな思春期の娘やと思っとき」と言われていた。

 幼い頃、極度のアレルギー体質で人一倍体も弱く、思春期は何かと不安定だった息子を、なんと手の掛かる子やと思ったものだが、今や私たちが手の掛かる、困った親!?

 翌日、学校へ行くと、クラスメートの、私より少し年上の女性の言葉が耳に入った。「毎日来る場所があって、学べて、人と世間話ができて幸せ。来させてくれる夫や家族に感謝やわ」。いやあ私もわかってはいるんですけどね。

佐藤 美佳 (48) 絵画講師 兵庫県尼崎市

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