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【ミナミ語り場 人類学者・中沢新一さん】おばちゃんは「神」 生と死が近い千日前「お笑い」はここから

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【ミナミ語り場 人類学者・中沢新一さん】
おばちゃんは「神」 生と死が近い千日前「お笑い」はここから

千日前のビル街に囲まれた墓地に立つ中沢新一さん。「死者の国」とお笑いの深い関係を説く=大阪市中央区(安元雄太撮影) 千日前のビル街に囲まれた墓地に立つ中沢新一さん。「死者の国」とお笑いの深い関係を説く=大阪市中央区(安元雄太撮影)

 大阪人に大阪がわかっているとはかぎらない。空気のようなものだからだ。山梨県出身で、長く東京で暮らす中沢新一さん(68)は若いころから、機会あるごとに訪れては歩き回ってきたという。大阪を愛する人類学者の観察は大阪人の意表を突く。

 「大阪の人の会話はそれらしく話しているようでも、中身のないことが多い。それでいて、重要な意味は伝わっている。実に巧みなんですよね」

 説明を読み解けば多分、こんな会話もそのたぐいなのだろう。

 〈あれ、よろしく頼むわ〉〈ああ、あれか。まあ、何とかやってみるわ〉…。

 第三者には何のことやら。しかし2人の間では〈あれ〉を明示するより強く通じている。

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 縄文・弥生の地質図を現代に重ね、土地の成り立ちから大阪の精神性を探った著書『大阪アースダイバー』が人気だ。出版から6年近くたっても、大阪の書店では目立つ場所に置かれている。

 古代、大阪の大部分は海だった。淀川や大和川が運んだ土砂がゆっくりと堆積し、半島だった上町台地の東西に「くらげなす」ように生成したという。

 「水中から成り出た不定形な土地に、雑多な人たちが寄りついて共存してきた。地盤と権力を備えた京都や東京と違い、人間の中の野性が表に出てしまう町なのです」

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