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【夕焼けエッセー】もらいもの継続中

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【夕焼けエッセー】
もらいもの継続中

 「お父さんからもらった物で、一番うれしかった物って何やった?」。ウィンドウショッピングをしながら、長女が私に聞いてきた。「んー」。しばらく答えが出ない。「挙げるとしたら、あなた達かな」。照れくささが分かる口調になってしまい、顔が赤くなったかも。

 「そっかぁ」とまんざらでもない長女の表情からも同じ物が見えた。

 「何でそんなん聞くん?」と聞くと「母の日も近いしなぁ」と返ってきた。物質欲が低い私なので聞いてきたのだと思うと、ちょっと申し訳ない気持ちになったが、その言葉を聞けたことで、私の答えは間違いじゃないと思えた。

 高校生の頃から社会人となった今でも、こうして買い物や映画に行けるのがうれしい。

 小さい頃から続いている、叔父さん叔母さん達とのキャンプやスキーに、大学生の長男も一緒に行ってくれる。

 思い出となる物より事がうれしい私なのだが、写真で残したりすることもほとんどしない。物に残すより心に残せたらと強がっていたが、最近めっきり物忘れがひどくなって、情けなくなることも多々ある。

 キャンプに行った川で長男が溺れかけたことや、落とし穴に見ず知らずの人をはめてしまったこと。懐かしい話を時々、またできることが思い出の復習になっている。

 釣り好きの長男が「母の日やし、刺し身で食べるアジを釣ってくる」と意気揚々、夜明け前から出かけたが、「今度またリベンジする」と帰ってきた。

河内久美(53) 会社員 大阪府松原市

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