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【浪速風】「医は仁術」で患者に寄り添った「わらじ医者」(6月6日)

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【浪速風】
「医は仁術」で患者に寄り添った「わらじ医者」(6月6日)

 「わらじ医者」こと早川一光(かずてる)さんの往診は風のようだ。午前中の3時間に15軒を回らなければいけない。インターホンを押して返事がある前に、もう玄関を上がっている。大半は介護する家族と対話し、その間も患者の手や背中をさすり続ける。週に1回の往診を、お化粧して待つおばあさんがいた。

 ▼25年ほど前に「病院考」という連載に登場してもらった。「自分の家の畳の上で人生の終わりを迎えたいという、患者の心からの願いを無視したらあかん」。昭和25年に京都・西陣に住民の出資で診療所を開設した。さらに51年、全国でも珍しい往診と訪問看護の「居宅療養部」を設けた。

 ▼外来の診察室には30個以上の湯飲みがあり、まずお茶を出す。「大変やと思ったら、いつでも電話しろ。僕は24時間、あんたの医者なんやから」。こんな言葉に患者の表情が和らぐ。認知症の予防と治療にもいち早く取り組んだ。患者と家族に寄り添う「医は仁術」の生涯だった。

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