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【関西の議論】「この器で酒を飲むと味がまろやか」には理由があった…匠の技を科学で解き明かす

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【関西の議論】
「この器で酒を飲むと味がまろやか」には理由があった…匠の技を科学で解き明かす

ぬれ性が良く、味がマイルドになるとされる日ノ出窯のぐい飲み(左)=黒田孝二氏提供 ぬれ性が良く、味がマイルドになるとされる日ノ出窯のぐい飲み(左)=黒田孝二氏提供

 器の表面に水滴をたらすなどして詳しく分析すると、味がマイルドに感じる器はぬれがよく、渋みが増すと感じる器はぬれが悪いことが分かった。さらに焼き上げる温度がぬれを決める器の表面の構造に影響していることも分かった。

 器は1000度以上で焼き上げるが、その中でも低い温度で焼き上げた器はぬれが良く、高い温度で焼いた器はぬれが悪い。実験を進めたところ、その分岐点は1247度付近と判明。実は、日ノ出窯で焼成している温度だった。1247度に設定していても、窯の中で微妙に温度が違うため、ぬれがいい器と悪い器の両方が焼き上げられることになっていたという。

 1247度は、器の表面にひび割れのような模様を入れる際に最適な温度として、岩崎さんが試行錯誤の末に見つけ出した温度だ。岩崎さんは「科学の力で自分の仕事の新しい魅力が分かったことがうれしい」と話す。現在は「味がまろやかになる」と「味に渋みが増す」の2種類の器をセットにして売り出している。

 ただ、なぜぬれ性の違いが味の感じ方の違いにつながるのか、肝心な部分は分かっていない。黒田氏は「素材の特性の違いがなぜ感覚の違いになるのかをもっと調べたい」と話す。

研究の仕上げ

 黒田氏は大手印刷会社の元研究者で、印刷分野での技術的な課題分析などを手がけてきた。京都工繊大の伝統みらい教育研究センターでは伝統技術の分析結果をもとに、匠の技の数値化・明文化に取り組んでいる。

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