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【夕焼けエッセー】私の経歴

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【夕焼けエッセー】
私の経歴

 パートの面接を受けるために履歴書を書いた。家事と子育ての他に仕事を持つことは不安だったが、思い切って一歩踏み出した。

 「最初の会社は結婚と同時に辞められ、次のパートは出産を機に辞められたんですね。専業主婦になり今に至る、と」。面接官の言葉に「はい」と答えながらまた不安になった。私の経歴では、アピールにならないのではないかと思ったからだ。

 大学4回生の頃はバブル崩壊後の就職氷河期だった。面接で落ち続けた私は就職活動をあきらめ、父の縁故で内定をもらった。卒業間近に自力で内定を勝ち取った友人の顔は、自信にあふれているように見えた。

 パート探しのときは電話で断られ、面接さえ受けられなかった。「妊娠したら仕事はどうするの?辞めるの?」という問いに「続けます」とは言えなかった。近所のスーパーでやっと採用され、長女を授かるまで楽しいパート生活を送った。そしてその後の、幸せでめまぐるしい子育ての日々。

 経歴欄の行間には、平凡だけれどさまざまな感情を抱きながら必死で生きた、私の人生がぎっしり詰まっている。

 現在は別の職場でお世話になっているが、あのときの面接で採用されたことが自信につながった。自分の人生に引け目を感じるのはやめよう。化粧を終えた鏡の私に、そう言い聞かせて仕事に向かっている。

平山 友紀(43) 主婦 奈良市

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