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【夕焼けエッセー】父のようにはなれない

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【夕焼けエッセー】
父のようにはなれない

 父は79歳で亡くなった。

 約40年前のその当時は、高齢者は尊敬されていたので、父は1歳サバをよんで「もう80歳になりましてん」と自慢していました。

 その父の年齢を超えて、今年8月4日を迎えると、私は80歳になります。われながらよく生きてきたものと思う。

 父はいつも母より先に死ぬものと公言していて、その通り母に完全看護してもらい亡くなった。

 私も父がいっていたように、妻に看護してもらって、妻より先に死ぬものとかたく信じて生きてきた。それが4年前に妻が私より先に死んでしまったのです。

 私は父と同じように、男子厨房に入らずで、家事一切なにもしないで過ごしてきた。ご飯をたくこともなく、洗濯もしたこともなく、掃除もしたこともなく、本当に妻がしてくれていたことは、なにもしたことがありませんでした。

 ひとり暮らしをしているので、何となく生きるために、それらしたこともないことをやりくりしながら生きております。

 たまに近くに住むひとり娘がやってきて、仏壇のお花が枯れている。風呂場、トイレが汚い。テレビの音が大きすぎる。などなど口うるさくやられる。父より年齢も超えられるが、父のように妻に完全看護をしてもらって死にたかったです。

 妻よ、何でボクのような無器用な男を残して先に逝ってしまったんだ。

中島孝和(79) 画廊オーナー 大阪府茨木市

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