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【夕焼けエッセー】働き方心持ち改革

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【夕焼けエッセー】
働き方心持ち改革

 「お前なんかおらんでも代わりはいくらでもおるから」。これを新人の修行と捉(とら)えるか、パワハラと捉えるかは心持ち次第だと思う。

 1年余りの就活で落ちまくった末、ようやくたどり着いた内定先。意気揚々と夢を語り、3月の研修を終え、配属された先は夢とは程遠い場所。「話が違う」と複雑な思いを抱えて出勤する息子に、初めて飲食店でアルバイトをした自分の学生時代の夏休みを重ねた。

 駐車場完備の大きな高級そば屋さんで、店内には優雅に琴の音が流れていた。が、裏側は別世界。怒号が飛び交い、肩をはたかれ、足を蹴(け)られ、家の何倍もの速さで洗い物や片付けをしないと怒られた。涙と汗の日々もお盆の頃には理不尽さに辞めたくなっていた。

 「大丈夫か?」の声に振り向くと憎き支配人だった。「年寄りを出しにしおって」と苦笑いで栄養ドリンク片手に通り過ぎた。お葬式だと嘘をつきバイトが次々と辞めていたのだ。一番大変なのはこの人なのだと思った。

 ケガや食中毒を防ぐには厳しくせざるを得ない。バイトに嫌われ、客に文句は言われても、褒められることはない。ろくに仕事もできないのに権利だけ主張する自分は甘いと反省した。バイト料を手にした最終日、何十人もいたはずのバイトは4人になっていた。

 日々の仕事に真摯(しんし)に向き合ってみて欲しい。夢へとつながる糸口が見つかるはず。君と言う人間の代わりは、いないのだから。

中崎 雅美(50) アルバイト 大阪市住吉区

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