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【夕焼けエッセー】その日のために

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【夕焼けエッセー】
その日のために

 もうすぐ母の七回忌。もう6年か。

 あの冬は、長男が結婚式をひかえ、次男が受験でバタバタしていた。おまけに、頼りになる妹が別の病院に入院していた。毎日、片道2時間かけ母のいる病院へ通う日々だった。

 はじめは、どんなに楽しく話していても2時を過ぎると

 「そろそろ帰りなさい」

 と言った母が、日がたつにつれ、何時になっても帰りなさいと言わなくなった。夜、一人になるのが怖かったんだと思う。

 父が亡くなった29年前は、私も妹も子供が小さくて十分なことができなかった。母は、後悔しないように見送りたいと思っていたのに、終わってみたら、いろいろ駄目だった。

 最近、身内を亡くした人と話すと同じように後悔している人が多い。そんな人ほど、立派に看病されていたのに。

 私も頑張った。満点じゃないけど母はわかってくれている。そう思うことにした。

 私の子供たちがそんな後悔をしないように子供たちの顔を見て

 「よくお世話してもらって感謝しています。幸せやったよ。ありがとうね」

 と言ってから、最後の時を迎えたいな。

 だけど、そううまく死ねないと思うのでいつかのその日のためにスマホのメモにちゃんと残しておかないと。

深井 かず代 58 主婦 大阪府藤井寺市

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