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【夕焼けエッセー】リハビリウオーキング

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【夕焼けエッセー】
リハビリウオーキング

 季節は3月を過ぎた。今朝の散歩で鶯(うぐいす)の初音を聞き、啓蟄(けいちつ)に合わせ蜘蛛が糸を引いているのを見た。伊賀の山里も春めいてきたのを感じる。

 伊賀市の郊外に妻が利用している三重県上野森林公園がある。自宅から車で5分の公園内のいくつかのウオーキングコースのうち舗装された外周コースがリハビリに励む妻のホームコースとなっている。

 妻は4年前脳(のう)腫(しゅ)瘍(よう)で3カ月入院した。見当識障害の後遺症があったが、退院時には手足のマヒも軽快し、会話もできるまでに回復した。医師陣と看護師の方々のおかげである。

 退院翌日から始めたのがこのリハビリウオーキングで、毎朝8時前に自宅を出る。公園に着くと、駐車場手前のウオーキングコースと交差する所で車を止めて妻を出発させる。

 妻はノルディックポールを使用してのウオーキングで歩行は遅い。出発させてから車を駐車場に止めて10分あまりで先行している妻に追いつく。

 歩を進めていくとやがてまばゆい太陽の光が公園全体をだんだんと明るい昼色に変えてゆく。凛(りん)とした空気の中、冷気を五体いっぱいに受け春を待つ公園の景色の中を2人で歩けるのは幸せである。

 誰もが歩くことは健康のためにいいと思っているけれど、なかなか続けられないものである。1周3キロ半のリハビリウオーキングもこの春で4年を超えることとなった。妻に付き添い歩けるこの時間はわたしにとって貴重なひとときとなっている。

一岡 修三(76) 三重県伊賀市

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