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【夕焼けエッセー】娘の想い

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【夕焼けエッセー】
娘の想い

 昨年の夏、夫が仕事中の山で30メートル滑落し救急搬送された。生きていたことが奇跡なほど、重体だった。

 娘はまだ3歳だったが、沢山の機械につながれた姿を目にし、“パパは大変なことになっている…”と幼いながらに直感していた。パパっ子だった娘は毎日「パパどうしてお山でこけたの?なんでずっと寝てるの?」初めは怖がって近寄ろうともしなかった。

 その後、幼稚園が夏休みに入り、私たちは病院から近い夫の実家から毎日病院へ通うようになった。

 実家には仏壇があり、朝晩と娘はお線香をあげて両手を合わせ「パパが早く元気になりますように…もうお山に行きませんように…」毎日の日課となった。

 そんな姿を目に不安に押し潰されそうで涙があふれだし娘を抱きしめて大泣きした…。「ママと愛ちゃんでパパのこと守ろうね。頑張ろうね」。すると娘は「パパ絶対元気になるって!愛ちゃん毎日仏様にお願いしてるから!」。大きな涙を浮かべながら力強く言ってくれた。

 こんな幼い子が大好きなパパへの想いを一生懸命祈り、願ってくれた日々だった。

 そんな娘の想いが届いたのか、夫は日々回復へと向かい、動かないと言われた手も足もリハビリとともに医師たちも驚くほど良くなり、今では自分で歩けるまでになった。

 今思えば、パパの側でずっと見守り続け“絶対よくなる”と強く信じた娘の想いが、パパの身体に奇跡をおこしてくれたのかもしれない。

 今は、夫と娘が私の側で毎日楽しく笑っています。

那須弥生(42)和歌山県新宮市

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