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【夕焼けエッセー】毛糸の靴下

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【夕焼けエッセー】
毛糸の靴下

 冬になると母が編んでくれた毛糸の靴下を履く。「あんたは、足が大きいから、みんなのより目数増してるよ」。そう言われて、貰った靴下は、確かにみんなのより大きい。母のこだわりで、渡す人によって、大きさを変えていた。みんなの喜ぶ顔が見たくて、何足も編む。自分の身内はもちろん、近所の人や通っていた歯医者の受付の人にまで、頂いてもらう。かかととつま先が破れるとモチーフをあてて修理までしてくれるので、私は、新しく編んでもらった分は箱にしまい、修理してもらった分を履き、さらにそれが破れてもまた修理してもらい、それを履く。新しい靴下は、私のコレクションのようにどんどん増えていった。

 その母が、去年の三月に亡くなった。家には、編み貯めた靴下とプレゼント用の袋がきれいにしまってあった。お通夜の日、その袋に靴下を入れ、一人ずつ手渡した。

 すると、皆、口をそろえて「私、何足も貰ったよ。修理もしてくれるし、お母ちゃんの靴下は、ほんまにあったかいよね。こうして貰えてうれしいわ」と喜んで頂けた。人を喜ばせることが好きだった母。きっと母も喜んでいるだろう。

 この冬も相変わらず、修理してくれた靴下をはく。私があの世に逝くまでの靴下は確保できている。私があの世に逝ったときは、また母に、みんなより少し大きめの靴下を編んでもらおう。

寺下 てるみ(56) 大阪府和泉市

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