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【正木利和のスポカル】画壇の風雲児、東郷青児の描いた究極の女性美のありよう

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【正木利和のスポカル】
画壇の風雲児、東郷青児の描いた究極の女性美のありよう

「望郷」1959年、東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館 「望郷」1959年、東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館

 同じ美人画でも、男性画家の描くものと女性画家の描くものとでは異なるように思える。

 美人画の大家といえば、女性画家では上村松園(1875~1949年)を筆頭にあげることに異論をはさむ人はまずいないであろう。

 京都生まれの松園は幼少時から好きな絵の道に邁進(まいしん)し、鈴木松年、幸野楳嶺、竹内栖鳳という大家に師事、各種の展覧会で受賞を重ね、早くから画家としての名声を得た。女性で初めて文化勲章を受章(1948年)した人物としても有名だ。

 最も有名な作品は重要文化財にも指定されている「序の舞」で、扇を手にして舞う日本髪の女性の凜とした美しさを、円熟の筆で描いたものだ。美術の教科書などでもおなじみだが、この絵は美人画としては異例ともいうべき縦2メートルを超える大作であり、そのサイズだけでもこの絵にかける松園の気迫と自信がうかがえる、畢生の作といっていい。

 この「序の舞」こそ、松園の「理想とする女性」を描いたものだったのである。寸分のすきもない、緊張感ただよう美しさ。それこそが、彼女の求めた究極の女性美だったということであろう。

 女性の理想の姿に美を求めるのが女性画家だとすれば、男性画家の描く絵は、放っておいてもそのなかに女性の色気や艶っぽさがそこはかとなくにじみでるものである。もちろん、そこには、同性を見る眼と異性を見る眼の差が如実に表れているように思える。

 ところが、東郷青児(1897~1978年)の絵には、なぜかそれがうかがえなかったのである。

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