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【午後のつぶやき 大崎善生】将棋史に刻まれた日

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【午後のつぶやき 大崎善生】
将棋史に刻まれた日

 2018年2月17日。おそらく将棋ファンにとって忘れられない1日となっただろう。中学生棋士の藤井聡太が、史上初の棋戦優勝を成し遂げた。愛知県瀬戸市に暮らす1人の少年が、また歴史を塗り替えてしまった。将棋界では羽生善治竜王が台頭した時代以来の、静かな革命が起こっている。

 その日、私は息子とJR中央線で、中学校の入学説明会に向かっていた。その車中で羽生・藤井戦を見ていた。準々決勝で佐藤天彦名人を圧倒したときから、何となく予感はあった。羽生さんが30年前に、NHK杯で4名人を撃破して優勝、世間を驚愕させた。それと同じことが起こるのではないか。

 しかし私のスマートフォンの問題か、電車内だからか、中継が安定しない。局面は終盤の急所を迎えているのに、中継が途切れる。藤井君が秒読みに追われ何かを指そうとしているのに、いきなり中継が止まる。勘弁してよ、である。羽生さんはどんな気持ちだろうな、と考えた。デビューから30年、ほぼトップに立ち続け、将棋界の価値観を白星という唯一の武器で革新し続けた。永世七冠を取り、国民栄誉賞を受けた羽生善治が明らかに苦戦している。颯爽と立ち向かう藤井の姿に、30年前の自分を見ているのだろうか。15歳の藤井聡太と47歳になった羽生善治-。天才2人が公式戦で戦う姿に、それだけで胸が一杯になる。

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