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【正木利和の審美眼を磨く】応挙は雪松、呉春は白梅。 高橋一生モデル…阪急“逸翁”の美意識の競演

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【正木利和の審美眼を磨く】
応挙は雪松、呉春は白梅。 高橋一生モデル…阪急“逸翁”の美意識の競演

円山応挙「雪中松図屏風」(六曲一双)逸翁美術館 円山応挙「雪中松図屏風」(六曲一双)逸翁美術館

 NHKの連続テレビ小説「わろてんか」で、イケメン俳優・高橋一生の演じる実業家のモデルは、阪急グループを作った小林一三(1873~1957年)だといわれる。

 小林は財界人としても一流だったが、趣味人としてもまた一流だった。

 大阪・池田市にある小林の旧邸「雅俗山荘」は1957(昭和32)年、小林の収集した美術品を展示するために「逸翁美術館」として開館。かつては、館内のあちこちに趣味の良い書画骨董(こっとう)や西洋陶器などの美術品が置かれていた。

 いずれも、茶席や俳句などの会を通して磨かれた彼の瀟洒(しょうしゃ)な美意識にかなったものばかりで、暮らしのなかに美術を取り入れようと思う者にとっては、大いに参考となるコレクションだったと記憶する。

 その小林の雅号を冠した美術館は、2009(平成21)年に新館が建てられたことにより、少しだけ駅から近くなった。いま、その美術館でなかなか見応えのある展覧会が開かれている。開館60周年を記念した「応挙は雪松、呉春は白梅。」だ。

▼阪急文化財団の「逸翁美術館」のページ(外部サイト http://www.hankyu-bunka.or.jp/itsuo-museum/ )

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 円山応挙(1733~95年)と呉春(1752~1811年)は江戸中期の絵師で、ともに多くの門人を抱えて後世の京都画壇に影響を与え、それぞれ「円山派」、「四条派」の祖とされる。

 応挙は、ときの画壇の主流であった狩野派が手本にならって描く主義に徹したのに対して「写生」を重視し、中国や欧州で用いられていた遠近法をとりいれることで、それまでの日本画に新風を吹き込んだ。

 その応挙を代表する作品が国宝「雪松図屏風(びょうぶ)」(三井記念美術館所蔵)だ。松に積もった朝の雪景色を、まばゆいほどに描き出した六曲一双の屏風である。

 今回、逸翁美術館に展示されている、やはり六曲一双の「雪中松図屏風」は、その本画の前に描かれた練習作だといわれている。

 「雪松図のほうは幾何学的に整備されていますが、こちらは現実により忠実に描かれています」と同館の仙海義之学芸課長。

 「雪松図」は金をふんだんに使っている分、松の姿が浮かび上がって見えてくるが、枝ぶりなどのリアリティーは「雪中松図」に分がある、ということだ。

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 呉春は最初、俳句の師でもある与謝蕪村(1716~84年)に絵画を学んだが、師亡き後は応挙と交わり、蕪村の叙情性に応挙の写生を取り入れた洒脱(しゃだつ)な画風を確立することになる。

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