産経WEST

【関西の議論】ニホンザル生息地に増殖した外来のタイワンザル 根絶に15年、行政とサルの壮絶な知恵比べ

産経WEST 産経WEST

記事詳細

更新

【関西の議論】
ニホンザル生息地に増殖した外来のタイワンザル 根絶に15年、行政とサルの壮絶な知恵比べ

紀伊半島のニホンザルの生息地に繁殖した外来のタイワンザル。生態系を守るため駆除に取り組んだ和歌山県は昨年末、根絶完了を宣言した(県自然環境室提供) 紀伊半島のニホンザルの生息地に繁殖した外来のタイワンザル。生態系を守るため駆除に取り組んだ和歌山県は昨年末、根絶完了を宣言した(県自然環境室提供)

 作戦は、ミカンなどの餌が入った巨大なオリにサルを誘い込んで一網打尽にするという内容で、当初は3年での根絶完了を予定していたという。

 だが、作戦の初期には捕獲されていたサルたちも次第に警戒するようになり、おびき出すためオリ周辺にまいていたエサだけを食べられてしまうケースも出てきた。「まさにサルとの根比べ、知恵比べだった」。県自然環境室の担当者はこう振り返る。

 サルは雌を中心に群れを形成することから、雌に電波発信機を装着して群れの動きを探るなど、あの手この手で捕獲を続けた。

生態系を残すために

 こうした取り組みの結果、県は24年4月までに366頭を駆除。その後は新たなサルの出現は確認できず、5年のモニタリング期間を経て、昨年12月下旬にようやく、タイワンザルの根絶完了を宣言した。駆除のために約5千万円の費用もかかったという。

 タイワンザルのようなケースを防ぐため、県では30年度までに県内に生息する外来種を調査し、リストを作成する方針。同室の担当者は「まずはどのような外来種がいるのか、しっかりと把握したい。紀伊半島の生態系を後世に残していくために、あらゆる方策を尽くしていく」と強調している。

 特定外来生物 生態系や人の身体、農水産物に悪影響を及ぼす可能性が指摘されている外来生物で、平成17年に施行された外来生物法に基づき、飼育や輸入が原則的に禁止されている。タイワンザルのほか、ペットとして人気を集めたものの、後に捨てられたり、逃げ出したりして野生化したアライグマや昨年初めて、国内への侵入が確認された強毒性のヒアリなどが知られる。

「産経WEST」のランキング