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【阪神大震災23年】遺体安置所、「一滴の涙も出なかった」両親との対面 実感わかなかったあの日の思いを書に 書家・野原さんが個展

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【阪神大震災23年】
遺体安置所、「一滴の涙も出なかった」両親との対面 実感わかなかったあの日の思いを書に 書家・野原さんが個展

震災当時の経験を振り返る野原神川さん=兵庫県西宮市のギャラリーわびすけ 震災当時の経験を振り返る野原神川さん=兵庫県西宮市のギャラリーわびすけ

 あの日を忘れないで-。阪神大震災で両親を亡くした神戸市東灘区の書家、野原神川=しんせん、本名・久美子=さん(62)の個展が11日、兵庫県西宮市のギャラリーで始まった。作品で表現したのは、震災から23年を経ても癒えぬ自身の心、そして両親への思い。記憶の風化が進む中、「書を通じ、震災の経験を次代に伝えたい」と訴える。

 あの日、神戸市東灘区の一人暮らしのマンションで寝ていた。激しい縦揺れに跳び起きて外へ出ると、周囲の民家が倒壊していた。近くにある父、幸助さん=当時(73)と母、範子さん=当時(64)=の住む実家は古い木造住宅。「無事であってほしい」と思う一方で、悪い予感がした。余震が続く中、たどり着いた実家は玄関だけを残し、崩れ落ちていた。呼んでも返事はなかった。

 野原さんは当時、勤務先の放送局で番組タイトルの制作を手がけており、書道は趣味だった。震災前日、書道道具を置いていた実家に泊まろうとしたが、幸助さんに電話で「風邪をひいているから帰ってくるな」と言われた。それが運命の分かれ道だった。

 震災2日後、小学校の遺体安置所で両親と対面した。ずらっと並ぶ遺体の列に両親も横たわっていた。範子さんを覆った毛布をめくったが、大好きだった母の笑顔はなかった。死んだという実感がなく、一滴の涙も出なかった。

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