産経WEST

【阪神大震災23年 歩いた先に(3)】子供たちに恩返しを 生きる喜び、与える番 保育士・長谷場みちるさん

産経WEST 産経WEST

記事詳細

更新

【阪神大震災23年 歩いた先に(3)】
子供たちに恩返しを 生きる喜び、与える番 保育士・長谷場みちるさん

母の享子さんと今までの思い出を振り返る長谷場みちるさん(左)=兵庫県西宮市 母の享子さんと今までの思い出を振り返る長谷場みちるさん(左)=兵庫県西宮市

 勝さんは一人娘のみちるさんを特にかわいがった。見舞いに来たみちるさんを抱きしめて離さない。みちるという名は、「生まれてきたことで心が満たされたから」と勝さんが付けた。

 みちるさんと兄2人の幼い子供たちを抱えた享子さんは、生計を立てるため仕事に追われるように。保育園で過ごす時間が増えたみちるさんは延長保育の常連だったが、先生たちの優しさのおかげで寂しくはなかった。「先生のようになりたい」と気づいた頃には保育士を目指し、平成27年から同市の保育園で勤務するようになった。

お父さんの分まで生きるから

 最近、当時の保育士が享子さんへ送った手紙を見つけた。「みちるちゃんもつらい気持ちをこらえ、頑張っていますよ」。言葉の一つ一つが温かく、みちるさんの様子も細かく書かれていた。子供たちを「第二の家族」のように考える保育士という仕事に、改めて向き合っていこうと決意した。

 1月10日に誕生日を迎えるたび、生死をさまよった「1・17」に思いをはせる。「生きていることが実感できる日」という17日には毎年、仏壇で笑う勝さんの遺影にこう語りかける。

 「お父さんの分まで生きるから、見ていてね」

「産経WEST」のランキング