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【理研が語る】次世代スパコン「新たなる希望」 一度は打ち砕かれた「コンピューター上で新しい分子創出」が視野に

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【理研が語る】
次世代スパコン「新たなる希望」 一度は打ち砕かれた「コンピューター上で新しい分子創出」が視野に

大学の指導教官が机に置いていったメモ((当時の記憶をもとに復元)。この化学式の分子を計算するという研究テーマを与えられた 大学の指導教官が机に置いていったメモ((当時の記憶をもとに復元)。この化学式の分子を計算するという研究テーマを与えられた

 高校で習うレベルの化学反応といっても、その過程で起きていることを理解するには、ミクロな分子のさらに小さな電子の状態を明らかにする必要がある。私は化学現象を計算で明らかにすべく、コンピューターシミュレーションを用いた理論化学を研究している。

 比較的簡単な計算でも、分子の電子状態を明らかにし、化学反応を解釈できる。大学の講義で学んだときは感銘を受けた。ならば、簡単な計算だけで化学反応や分子の「性質」を明らかにでき、「コンピューター上で新しい分子も創り出せるのではないか」と希望に胸を膨らませた。

 しかし、その希望を失うまでに多くの時間を要さなかった。大学4年で理論化学の研究室に入って数日後、指導教官が研究テーマとして、ある分子を計算するよう机の上にメモを置いていった。「こんな小さな分子の計算が研究テーマ?」と疑問を感じながら、研究室の高性能コンピューター(当時)を使ってシミュレーションしたが、この分子の光に関わる性質を解明するための計算に、なんと計1カ月もかかってしまった。

 実は、化学反応や分子でも「性質」まで精密に解明するには、大学の講義で習った簡単な計算と違い、複雑で高精度なコンピューターシミュレーションをするための膨大な計算が必要となる。当時のコンピューターでは、写真のメモのような小さな分子のシミュレーションが精いっぱいであった。タンパク質などの大きな分子は1万以上の原子で構成されているため、「新しい分子を創るなんて夢のまた夢では」と嘆いた。その後は、少しでも夢の実現に近づく研究をしようと気を取り直し、なるべく少ない計算量で分子の性質を高精度にシミュレーションする手法の開発に取り組んでいる。

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