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残念で悔しい-名張事件・奥西元死刑囚の妹の思い届かず 「頼りがいのある兄だった」

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残念で悔しい-名張事件・奥西元死刑囚の妹の思い届かず 「頼りがいのある兄だった」

 名張毒ぶどう酒事件で故奥西勝元死刑囚に代わって再審請求を申し立てた妹の岡美代子さん(88)にとって、奥西元死刑囚は頼りがいのある優しい兄だった。無実を信じてきたが、8日の名古屋高裁は請求を退けた。「残念で悔しい。兄は絶対にやっていません」。事件発生から半世紀以上。妹の思いは届かなかった。

 岡さんは19歳で奈良県の親族に養子に出た。兄妹仲は良く、兄や家族に会いたい一心で、歩いて1時間かけ三重県名張市の実家によく遊びに行った。

 「えらい事件や。勝さんの嫁さんも亡くなった」。昭和36年3月28日、事件直後の深夜。知人の知らせに目を覚まし、故郷で起きた惨劇に耳を疑った。

 翌朝、実家に駆け付けた時の様子が今もよみがえる。「自分がやったならそういう格好があるやろ。『うちの(妻)も死んだわあ。えらいことが起こった』って、しょげとるだけやった」と振り返る。

 39年の一審無罪判決で釈放され、しばらく一緒に暮らすことができた。しかし44年の二審は逆転死刑判決で、つかの間の平穏も一瞬で暗転した。「名古屋に電車で一緒に行って、連れて帰れる思ってたのに。つらい思い出でした」

 最後の面会は八王子医療刑務所。既に意識がもうろうとしている兄の手を握り、その顔をじっとみつめた。半開きの口が「やってないよ」と動いたように見えたという。

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