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【関西の議論】“神の使い”「奈良のシカ」捕殺に賛否…増えすぎて獣害、人との共生の境界は

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【関西の議論】
“神の使い”「奈良のシカ」捕殺に賛否…増えすぎて獣害、人との共生の境界は

観光客に鹿せんべいを食べさせてもらう奈良公園のシカ。奈良のシンボルだが、頭数が増え獣害が深刻化した地域での捕獲について賛否の議論が起きている 観光客に鹿せんべいを食べさせてもらう奈良公園のシカ。奈良のシンボルだが、頭数が増え獣害が深刻化した地域での捕獲について賛否の議論が起きている

 鹿せんべいについて知ろうと、大正6年創業の鹿せんべい製造所「武田俊男商店」(同市)を訪ねた。

 原料はシンプルで、米ぬかと小麦粉のみ。それらを水で溶いて混ぜ合わせ、機械でどんどん焼いていく。焼き上がった鹿せんべいは10枚1セット(150円)で各販売所で売られる。同社では一日1万~1万5千枚を焼くという。

 店主の武田豊さんの了解を得て、焼きたての鹿せんべいを食べてみた。ほのかに香ばしいが、味がないのでなかなか飲み込めない。ちなみに販売所で売っているものは衛生上の問題から「食べないで」と念押しされた。

 この鹿せんべいは、愛護会の貴重な収入源でもある。資金は活動費となり、シカの保護にも使われる。

山間部では「害獣」

 一方、奈良公園から離れた山間部に生息するシカは人に慣れておらず、人里に下りては農作物を食い荒らす「害獣」としての存在感を際立たせる。

 農林水産省によると、平成27年度の野生鳥獣による農作物被害は全国で約176億円に上り、うちシカによるものが約59億円で最多だった。シカによる食害はそれほど脅威なのだ。

 実は奈良でも農作物被害をめぐるシカとの攻防の歴史は古く、江戸時代にはシカの侵入を防ぐ「鹿垣」が作られたとされる。明治11年には保護を目的に「神鹿殺傷禁止区域」が設定されたが、農作物被害を理由に、23年には区域が春日大社境内と奈良公園内に縮小されている。ところが、天然記念物指定時に保護区域が奈良市全域に拡大。再び被害が急増し、昭和50年代には農家による「鹿害訴訟」に発展した。

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