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【関西の議論】“神の使い”「奈良のシカ」捕殺に賛否…増えすぎて獣害、人との共生の境界は

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【関西の議論】
“神の使い”「奈良のシカ」捕殺に賛否…増えすぎて獣害、人との共生の境界は

観光客に鹿せんべいを食べさせてもらう奈良公園のシカ。奈良のシンボルだが、頭数が増え獣害が深刻化した地域での捕獲について賛否の議論が起きている 観光客に鹿せんべいを食べさせてもらう奈良公園のシカ。奈良のシンボルだが、頭数が増え獣害が深刻化した地域での捕獲について賛否の議論が起きている

 このことが奈良公園の内と外とでシカと人間との複雑な軋轢(あつれき)を生んでいるわけだが、この問題を考えるにあたり、まずは奈良公園のシカについてその生態を紹介したい。

24時間体制で見守り

 奈良公園一帯には現在、約1200頭のシカが生息しているとされる。これらは「野生」でありながらも、「奈良の鹿愛護会」(同市)によって24時間体制で見守られ、保護されている。

 出産期の春、妊娠した雌ジカは同会によって、奈良公園から春日大社境内のシカ保護施設「鹿苑」へと隔離される。獣医で同会事務局長の吉岡豊さんはその理由について、「自然な場所で出産するのが一番だが、(観光客の多い公園内で)子ジカに人のにおいが付くと、母ジカが育児放棄をしてしまうため」と説明。母ジカが子ジカを守るため、近寄ってくる人間を攻撃する恐れもあり、被害防止の意味もあるという。

 雄ジカが発情期を迎える秋になれば、鹿苑では雄ジカの角を落とす「角切り」が行われる。江戸時代から続く伝統行事で、雌ジカをめぐる雄同士のケンカに市民や観光客が巻き込まれるのを防ぐのが目的だ。人とシカが共生を続けてきた奈良ならではの、象徴的な行事といえる。

鹿せんべいは「おやつ」

 人の保護下にある奈良公園のシカは、食生活も一般の野生のシカと異なる。

 奈良のシカが食べているもので、真っ先に思い浮かぶのが「鹿せんべい」だろう。シカが首を上下に振る“お辞儀”をして観光客に鹿せんべいをねだる姿は、おなじみの光景だ。だが、シカの主食は公園内のシバやススキ、イネ科の植物。鹿せんべいは小腹を満たす「おやつ」なのだという。

鹿せんべい、日に1.5万枚も焼く…そして

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