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【理研が語る】「発生」と「再生」つなぐ鍵を求めて 清川寛文

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【理研が語る】
「発生」と「再生」つなぐ鍵を求めて 清川寛文

発生と再生に隠された共通性は? 発生と再生に隠された共通性は?

 私は呼吸器内科医なので気管や肺の病気を診る。肺は呼吸のたびにホコリやバイ菌にさらされ損傷を受けるのだが、人間の持つ再生能力のおかげで傷を受けた組織は再生される。しかし一方で再生がうまくいかないと人は病気になり、時に死に至る。つまり体が本来的にもっている再生能力をうまく利用することが病気や死を避ける一番の近道なのだが、われわれの再生についての知識はまだまだ心許ない。

 子供の頭はしなやかで時に残酷な質問を大人に向けるが、その一方でどんなことでも吸収し、けがをしてもその傷はすぐに治る。子供の持つこの驚くべき強固な可逆性(=元に戻る)の基礎は胎児の段階で完成する。発生の研究を通じてこの可逆性の本質を理解し、それを大人に応用し再生をより強固なものにできれば、どんなに素晴らしいことだろうか。それは医師としての自分の責任であると同時に、子供の頃の無邪気な疑問に対するささやかな答えでもある。

 「なぜ人は生き、そして死ぬのか?」。生命と人生の不思議に魅せられながら、「発生」と「再生」をつなぐ鍵を探す毎日である。

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