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【理研が語る】あれよという間に農作物から人の受精卵まで…漠然とした不安、「ゲノム編集技術」とどう付き合うか 

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【理研が語る】
あれよという間に農作物から人の受精卵まで…漠然とした不安、「ゲノム編集技術」とどう付き合うか 

加速するゲノムの編集技術 加速するゲノムの編集技術

 近年、テレビや雑誌など一般向けのメディアで特集を組まれるなど、にわかにクローズアップされてきた生物科学技術がある。数年以内のノーベル賞受賞が有力視されている「ゲノム編集技術」だ。

 ゲノム編集技術は読んで字のごとく、生物のゲノム(全遺伝情報)を自在に編集、つまり書き換える技術である。近年の急速な技術開発に伴い、瞬く間にあらゆる生物研究分野に普及した。

 私は、もともとは細胞内でさまざまな物質が運ばれる機構に興味を持ち、魚やカエルの細胞を用いたやや地味な基礎研究に長年従事してきた。このような細胞生物学の分野においては、ゲノム編集技術は特定の遺伝子の細胞内機能を研究するための有効な手法として活用される。私自身はこの技術に出合ってからは、ゲノム編集酵素の特異的DNA結合機構に魅せられ、技術の向上を目指した研究に携わってきた。

 しかし、ゲノム編集技術はこういった基礎研究だけではなく、農作物などの育種や医療分野に急速に応用展開され、半ば予想していたことではあったが、あれよあれよという間に人の受精卵を対象とした実験にまで到達してしまった。この事実に、漠然とした不安を感じた人は少なくなかったに違いない。

 ゲノム編集技術の運用については、急ピッチで国際的な議論が展開されている。SFでおなじみのデザイナーベイビーや強化人間を目的とした研究は生命倫理や社会的影響を鑑み、今のところ容認される気配はない。

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