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【世界を読む】中国で“不都合”論文を遮断した「ネイチャー」擁する出版大手…学問の自由への攻撃という新常態

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【世界を読む】
中国で“不都合”論文を遮断した「ネイチャー」擁する出版大手…学問の自由への攻撃という新常態

香港の大学の卒業式で「私を黙らせないで」と書いたプラカードを掲げ「香港独立」ポスターをめぐる規制に抗議する学生たち。中国当局は言論の自由への締め付けを中国ビジネスを展開する海外出版社や海外にいる中国人留学生にも拡大しようとしている=11月16日(AP) 香港の大学の卒業式で「私を黙らせないで」と書いたプラカードを掲げ「香港独立」ポスターをめぐる規制に抗議する学生たち。中国当局は言論の自由への締め付けを中国ビジネスを展開する海外出版社や海外にいる中国人留学生にも拡大しようとしている=11月16日(AP)

 一方、シュプリンガー・ネイチャーから11月27日現在で方針変更の表明はない。AP通信によると同社は「99%のコンテンツは中国でも守られており、影響を最小限にし、願わくば除去できるよう中国当局と協議していく」と説明する。言論の締め付けを強める習近平政権が譲歩する余地は小さい。同社は西側向けに改善努力をアピールし、中国に従う方針とみられる。

 大学の名を背負う出版局と、一般出版社とのスタンスの違いも垣間見える。FTに対し欧米の複数の大学が「中国は極めて重要な収入源だが、これまでもこれからもコンテンツを遮断することはない」(英オックスフォード大出版局)、「検閲に応じるよりすべてのコンテンツを引き上げる」(米シカゴ大学出版局)などと圧力に屈しない姿勢を示したが、学術書籍を手がける別の大手出版社は中国当局の要望があれば拒否するとはかぎらないとしている。

批判広がらず

 米紙ワシントン・ポストは「ウェブサイトでは情報やアイデアの自由な流れは発見を前に進める要だと掲げているが、中国においては核心の原則も妥協してしまった」とシュプリンガー・ネイチャーを皮肉った。また言論の自由については半分でも99%でも論外だとし、天安門事件などの中国史が欠落した学術誌に真実はないと強く非難した。

 しかし、シュプリンガー・ネイチャーに対する批判の広がりは大きくはない。ケンブリッジ大出版局の場合には多数のメディアが報じて撤回を求める署名運動も起きたが、今回は関連報道もすぐ収束した。

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