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【坂口至徳の科学の現場を歩く】C型肝炎ウイルス、薬剤耐性なく治療する化合物 阪大、アルツハイマー病治療薬の候補の中に…トキソプラズマなども効果

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【坂口至徳の科学の現場を歩く】
C型肝炎ウイルス、薬剤耐性なく治療する化合物 阪大、アルツハイマー病治療薬の候補の中に…トキソプラズマなども効果

(A)SPPの立体構造の予測図。破線で囲まれた部分が活性中心(図左上)。阻害剤(黄色)はSPPのタンパク質を構成するアミノ酸の223番目(V223)と258番目(F258)に結合し、活性中心(赤色)を塞いでいる(B)右側の2枚はC型肝炎ウイルス(HCV)の感染を模倣したマウスの組織。阻害剤を投与すると病変は消失した。左側の2枚は光るトキソプラズマ原虫を感染させたマウスで、原虫が増殖すると赤色に光るが、阻害剤で処理すると増殖が抑えられて消える(大阪大学提供) (A)SPPの立体構造の予測図。破線で囲まれた部分が活性中心(図左上)。阻害剤(黄色)はSPPのタンパク質を構成するアミノ酸の223番目(V223)と258番目(F258)に結合し、活性中心(赤色)を塞いでいる(B)右側の2枚はC型肝炎ウイルス(HCV)の感染を模倣したマウスの組織。阻害剤を投与すると病変は消失した。左側の2枚は光るトキソプラズマ原虫を感染させたマウスで、原虫が増殖すると赤色に光るが、阻害剤で処理すると増殖が抑えられて消える(大阪大学提供)

 大阪大学微生物病研究所の岡本徹助教、松浦善治教授らの研究グループは、アルツハイマー病の治療薬の候補として開発された薬剤の一部に、C型肝炎ウイルスの増殖に不可欠な酵素の働きを阻害して退治できる化合物が含まれていることを明らかにした。この化合物は、ウイルスが持つタンパク質ではなく、ウイルスが感染する宿主側のタンパク質をターゲットにしているので、ウイルスが遺伝子変異により薬剤耐性をもつ恐れは少ない。さらに、マラリア、トキソプラズマなどの原虫感染症に対しても効く可能性があることがわかった。

 C型肝炎ウイルスは、感染すると、慢性肝炎を起こし、脂肪肝、肝硬変、肝がんなどの原因にもなる。研究グループは、このウイルスの増殖の際に、被感染者の細胞内の小器官である小胞体の膜にあるタンパク質分解酵素(シグナルペプチドペプチダーゼ、SPP)を利用し、ウイルスの内部構造を形成するコアタンパク質の一部を切断することを明らかにし、それが重要であることを示してきた。

 今回、研究グループは、このSPPの働きを阻害すれば、ウイルスの増殖を抑え、治療に役立つと発想。SPPの働きの中核にある部位(活性中心)の構造は、認知症であるアルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβをつくる酵素(ガンマセレクターゼ)とそっくりであることから、すでに開発されているガンマセレクターゼの阻害薬が使えないか検討した。しかし、ガンマセクレターゼ阻害薬の1部にしかSPPの働きを抑えることができないことが分かった。

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