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【スポーツの現場】
ニッポン柔道、100キロ級の主役は俺だ 「エース階級」世界王者ウルフに国士舘大飯田、リオ銅羽賀ら
柔道男子の100キロ級で、2020年東京五輪に向けた代表争いが早くも熱を帯びている。今夏の世界選手権王者、ウルフ・アロン(東海大)は10月に兵庫県尼崎市のベイコム総合体育館で開かれた全日本学生体重別団体優勝大会で5戦全勝し、チームの優勝に貢献。一方、今月の講道館杯全日本体重別選手権(千葉)を制した19歳の飯田健太郎(国士舘大)も伸びしろを感じさせる逸材で、リオデジャネイロ五輪銅メダルの羽賀龍之介(旭化成)も負けじと爪を研ぐ。日本の「エース階級」のトップを3人が奪い合うことになりそうだ。(岡野祐己)
世界王者に隙なし
この階級ではウルフが今、最も脂が乗っているだろう。「根性とスタミナ」が持ち味と自己分析する21歳だ。

今年4月の全日本選抜体重別選手権(福岡)決勝で大学の先輩にあたる羽賀を破って2連覇を達成。さらに世界選手権で優勝し、全日本学生体重別団体優勝大会でも強さが際立った。初戦の2回戦は試合開始17秒で肩車を決めて一本勝ち。3回戦でウルフに敗れた早大の選手は驚いた顔で「(懐に)近づけない」とつぶやくほど圧倒的な実力差を見せつけた。
次の照準は来年の世界選手権の選考会を兼ねて行われる12月のグランドスラム(GS)東京だが、直前まで母校の東海大浦安高(千葉)で体育の教育実習があるという。高校の体育科教諭になるのが将来の夢だ。満足に練習できない懸念もあるが「どんな状況でも最善の調整をするのが一流」と言葉に世界王者の自覚がにじみ出る。