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【夕焼けエッセー】夫たちの会話

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【夕焼けエッセー】
夫たちの会話

 「今日○○さんに久しぶりに会ったら、奥さん元気?と聞かれたよ」と帰宅した夫が台所に来て言う。○○さんは部署は違うが夫と同じ会社の人で、私の同級生と結婚している。そういえば、彼女ともう何年も会っていない、元気にしているのかなと考えていたら、まだ何か言いたそうな夫と目が合った。「続きは言わんとこうと思ったんやけど」。ためらいがちに、でも少しニヤニヤしながら夫が言う。元気だと答えたら「奥さん老けたやろ?」と聞かれたとのこと。「まあね」と答えた夫にすかさず「ウチもや」と○○さん。

 「老けたやろって、何で?」「どうしてウチはそうでもないって言ってくれへんかったん?」と私は夫にかみついた。

 結婚してもうすぐ28年。うれしいこと悲しいこといろいろあった。彼女たちはそろそろ30年か。体形が変わったり、しわが増えたり、確かに自分でも老けたと思うこの頃。とはいえ、職場の廊下で久しぶりに会った夫たちが交わした会話が、妻が老けた話とは。自分たちのことは棚に上げて何を言っているのかと憤慨した。でも、そんな会話ができるのは、それぞれの夫婦がそれなりに幸せに年を重ねてきたということか。そう思うとなんだか笑えてきた。

 その日の夜から私はパックと体操を欠かさず行っている。いつか偶然会った○○さんに、「岡井さんの奥さん、老けてないやん」と言われるように。

岡井ほづみ (53) 和歌山市

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