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【正木利和のスポカル】しき嶋の大和心を…コスプレ好きな国学者、本居宣長

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【正木利和のスポカル】
しき嶋の大和心を…コスプレ好きな国学者、本居宣長

「鈴屋円居の図」(部分)本居宣長記念館 「鈴屋円居の図」(部分)本居宣長記念館

 若いころ手にとったものの、難しすぎて、結局はお蔵にはいったまま、という本が何冊もある。

 そのなかに小林秀雄(1902~83年)が著した「本居宣長」も入っている。

 小林の晩年、11年あまりにわたって雑誌に連載されたあと、さらに加筆・補正を加えて、単行本として出版され、発売当時から名著として名高かった。

 知識人の中元だったか歳暮だったかに贈られる箱入り本、などと噂されるほど、外見も立派なものだったが、当方、この本を読むに足る知識がなかったため、あえなくあきらめたのだった。

 その小林が講演をしたCD集なるものを近ごろ手に入れてたまに聞いている。

 まあ、日本近代の文芸評論を確立した人物なので、話はおもしろいのか、と聞かれても、勢いよく、うん、とは答えづらいのだが、どういうわけか、しばらく聞かないでいると、また聞きたくなってくる。

 よくとおる甲高いしわがれ声で少し早口にぽんぽんと言葉が飛び出してくる。その小気味よい江戸っ子の語り口が、まるで名人噺家(はなしか)の落語を聞いているような趣を感じさせるせいに違いない。

 もちろん、彼の講演のなかに「本居宣長」のこともひんぱんに登場する。

 そのせいで、かつて挫折を味わった宣長のことが、また気になってきた。

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 先日、津市を初めて訪れた。三重県立美術館( http://www.bunka.pref.mie.lg.jp/art-museum/ )で開催されている「本居宣長展」(11月26日まで)を見るためだった。

▼三重県立美術館の公式ホームページ(外部サイト:http://www.bunka.pref.mie.lg.jp/art-museum/ )

 本居宣長(1730~1801年)は、松阪の人である。江戸時代の国学者で数々の著作を残した。有名なものでいえば「古事記伝」「直毘霊(なおびのみたま)」「源氏物語玉の小櫛」「うひ山ぶみ」「玉勝間」といったところであろうか。

 生まれは木綿問屋であったが、若いころから江戸や京都などを旅している。そのせいかどうか、17歳のころにはすでに「大日本天下四海図」という詳細な日本地図を描くほどの地図マニアだったといわれる。多くの人が「藩」という小さな枠におさまっていた当時、「日本」という規模で思考することができたのは、その趣味のおかげもあるだろう。

 もともと、読み書きは好きだが、商いには向いていないたちだったそうである。母親の勧めもあり、京都に出て医学を学ぶと、28歳のころには故郷にもどって開業医となる。それを生業とする一方で、私淑していた賀茂真淵と会見したり、地元で歌会を開いたり、弟子に講義したりしながら、京都時代から励んできた和歌や国学の研究を続けてゆく。

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 しき嶋のやまとごころを人とはば朝日ににほふ山ざくら花

 有名なこの和歌をしるした六十一歳自画自賛像をはじめ、重要文化財51件を含む約200点で宣長とその時代に迫ろうとするのが、この展示の趣旨といっていい。

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