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【石野伸子の読み直し浪花女】井上靖の大阪(7)三つ子の魂…無償な愛を信用せぬ孤独さ 祖母と同盟、小説は贅沢な遊び

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【石野伸子の読み直し浪花女】
井上靖の大阪(7)三つ子の魂…無償な愛を信用せぬ孤独さ 祖母と同盟、小説は贅沢な遊び

湯ヶ島の家で両親と談笑する井上靖(浦城いくよ氏提供) 湯ヶ島の家で両親と談笑する井上靖(浦城いくよ氏提供)

 井上文学に阪神間は登場する。それも富裕層の住む場所として好んで描いている。「猟銃」の登場人物たちが住む芦屋川、宝塚の別荘。「あした来る人」の夙川。「闘牛」の舞台、西宮球場。

 井上靖文学研究者の藤沢全(まとし)さんは、戦後の井上靖の文学的再生について、戦時中に読んだ海外の文学や絵画などを栄養にして、「美的な孤独」に結実させたところに特徴があるとみる。

 「つらい戦争の時代が終わった後の世の中の混沌を逆手にとって、美的な孤独という新しい創作法を編み出した。猟銃は作者の記念碑。名作の背後には世界文学の森がある」(「井上靖“猟銃”の世界 詩と物語の融合絵巻」)

 そこにはまた、「詩と物語との融合」があるという。そこに、「大阪」が大きくかかわってくる。   =続く

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石野伸子 石野伸子 産経新聞特別記者兼編集委員。生活面記者として長らく大阪の衣食住を取材。生活実感にもとづき自分の足と感性で発見したホンネコラムをつづるのを信条としている。

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