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【通崎好みつれづれ】山間の古民家…集う人と音

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【通崎好みつれづれ】
山間の古民家…集う人と音

開演前、マリンバが並んだ「杢」の店内=大津市葛川坂下町 開演前、マリンバが並んだ「杢」の店内=大津市葛川坂下町

 開業を決意するなか、彰さんはどんな料理を出せば山間部まで足を伸ばしてもらえるかと考えた。そんな時出会ったのが、蕎麦。一から勉強するうちすっかり蕎麦の世界に魅せられた。ここでは彰さんの打つ蕎麦を、上西家に伝わる調度品に囲まれくつろいだ気分でいただける。蕎麦がメインだが、鯖寿司(さばずし)や、季節によっては鮎料理などのメニューも登場する。さらに、予約すれば彰さんの本筋である本場仕込みのフランス料理がいただけるのもうれしい。

 コンサートは無事に終わった。家の外は街灯一つない漆黒の世界。雨上がり、轟轟(ごうごう)と流れる川の音が聞こえる。母、千代野さん(73)は「店を始めて2年半。取り壊すしかないかと諦めかけた家に多くの人が集い、音があふれて、感無量」とおっしゃった。大切な家が確かに次世代へ受け継がれていく。そんな場面に関わることができ、私も幸せな気持ちになった。(通崎睦美 木琴・マリンバ奏者)

 つうざき・むつみ 昭和42年、京都市生まれ。京都市立芸術大学大学院修了。マリンバとさまざまな楽器、オーケストラとの共演など多様な形態で演奏活動を行う一方、米国でも活躍した木琴奏者、平岡養一との縁をきっかけに木琴の復権にも力を注いでいる。執筆活動も手掛け、『木琴デイズ 平岡養一「天衣無縫の音楽人生」』で第36回サントリー学芸賞(社会・風俗部門)と第24回吉田秀和賞をダブル受賞。アンティーク着物コレクターとしても知られる。

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