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【銀幕裏の声】映画「エルネスト」が伝える“ゲバラの真実” 「なぜ日本人は怒らないのだ!?」とゲバラは広島で怒った

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【銀幕裏の声】
映画「エルネスト」が伝える“ゲバラの真実” 「なぜ日本人は怒らないのだ!?」とゲバラは広島で怒った

オダギリジョーが“エルネスト・メディコ”を熱演する (C)2017“ERNESTO”FILM PARTNERS. オダギリジョーが“エルネスト・メディコ”を熱演する (C)2017“ERNESTO”FILM PARTNERS.

父が見た広島を見るために

 「平和のため断固戦うには、この地を訪れるべきだ…」。広島訪問の際、ゲバラが妻へ送った絵はがきにはこう綴られていた。

 「私も父の言うとおりだと思いました」。今年8月6日に初めて広島を訪問したゲバラの長男、カミーロさんは語気を強めてこう語った。

 カミーロさんはキューバ・ハバナにある「チェ・ゲバラ研究所」で父の資料の収集、調査活動を行っている。写真家でもあった父が世界で撮影した写真も集めているが、その中にはゲバラが来日した際、広島で撮影した原爆ドームの写真もある。

 ゲバラの半生を描いたスティーブン・ソダーバーグ監督の2部作の長編大作「チェ」(2008年)の中で、革命中、身を隠していたゲバラが変装をして妻や子供たちと会うシーンが描かれる。ゲバラ本人だと知っているのは妻だけで、まだ幼い長女と長男は自分の父だと気付いていない。

 実はこの長男がカミーロさんだ。「私はまだ小さすぎてこの場面は覚えていません。しかし、このとき姉が壁に頭をぶつけて泣いていたら、医師である父が手当てをしたらしいのです。姉は『きっと、あのおじさん私のことが好きなのよ』と、ませたことを言っていたと後で母から聞きました」とカミーロさんは当時を振り返りながら笑った。

エルネストの真意

 映画「エルネスト」では、広島からキューバへ戻ったゲバラがボリビアへわたり、革命を指導する姿が描かれる。

 このゲリラ部隊にいたのが、祖国を解放すべく志願兵として参加していた医学生の前村だった。ゲリラのメンバーは全員、本名ではなく愛称を使って戦っていた。

 「実はゲバラが1人で全員の愛称を考えていたのです。興味深いのはメンバーを1人ずつ自分の部屋に呼び、面接しながら愛称を付けていたことです」と、キューバやボリビアでゲバラの腹心だった関係者を探し出し取材した阪本監督は説明する。

 劇中、オダギリジョー演じる前村に、ゲバラがほほ笑みながら、「君はエルネスト・メディコだ」と名付けるシーンは印象深い。

 ゲバラは自分と同じく医療の道を志し医学生となった前村にふさわしいメディコ(医師)、そして自分の本名であるエルネストの名を授けたのだ。

 「“エルネスト”という言葉は“真剣”という意味なのですが、さらにそれより深い意味として“目的を決めたうえでの真剣”という強い意志が込められた言葉なのです。2人のエルネストの意志は現代の日本人にどう響くでしょうか」と阪本監督は語った。

 今から50年前の1967年、ボリビア戦線で2人のエルネストは亡くなった。前村は25歳、ゲバラは39歳だった。

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