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【石野伸子の読み直し浪花女】井上靖の大阪(5)離婚・不倫・告白…愛と孤独、新生の記念碑「猟銃」

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【石野伸子の読み直し浪花女】
井上靖の大阪(5)離婚・不倫・告白…愛と孤独、新生の記念碑「猟銃」

東京・世田谷の自宅でくつろぐ井上靖。72歳=昭和54(1979)年 東京・世田谷の自宅でくつろぐ井上靖。72歳=昭和54(1979)年

 「猟銃は作者の記念碑」としてこう述べる。

 「つらい戦争の時代が終わった後の世の中の混沌を逆手にとって、靖は一つの新しい創作法をあみだし、日本語の持つ表現の美しさをしらしめた。美的に孤独を描いて戦争の時代との決別をはかり、風雪にたえてひた歩む姿こそ、靖が求めた新生だった。40年の文業を見返しても、持ち味のすべてがこの文壇処女作に凝縮している」

 最初に詩を書き、それを小説に仕上げる手法は、初期の短編に特徴的な手法だが、その点でもこの「猟銃」が典型例だ。

 一方で、実際のニュースに材をとり独自の取材を重ねて物語を生み出すのも井上靖得意の世界だ。その最初の取り組みが「闘牛」だ。   =続く

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石野伸子 石野伸子 産経新聞特別記者兼編集委員。生活面記者として長らく大阪の衣食住を取材。生活実感にもとづき自分の足と感性で発見したホンネコラムをつづるのを信条としている。

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