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【井上章一の大阪まみれ】「弥生の都市国家」語るのは力瘤込めすぎ? 確かに従来の遺跡より立派だが…

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【井上章一の大阪まみれ】
「弥生の都市国家」語るのは力瘤込めすぎ? 確かに従来の遺跡より立派だが…

 たしかに、ギリシャやローマでも、そういう集住地がこしらえられている。いわゆる都市国家だが、それらは小高い丘へもうけられた神殿を中心に、構成された。市壁でかこわれた市街地が、そのまわりに形成されている。たとえば、アクロポリスの丘にたつパルテノン神殿を軸としたアテネのように。

 中国でも、春秋時代からそういう都市国家ができていたことが、わかっている。そして、池上曽根遺跡の発掘報道は、それが日本にもあったと言いだしたのである。

 なるほど、じゅうらいの平均的な弥生の集落より、池上曽根はりっぱであった。しかし、都市国家を語るのは、あんまりである。例の「神殿」も、地中海のそれとくらべれば、そまつな掘っ建て小屋でしかありえない。日本の考古学者が、あちらの学会へでかけて「弥生の都市国家」を語るのは、こまる。はずかしいから、やめてほしいと、私はねがってきた。

 いっぱんに、首都圏配布の全国紙は、関西もふくむ地方の動向を、あまりつたえない。だが、考古学については、事情がちがう。これに関しては、関西ローカルという枠をこえ、しばしば全国へ報じることがある。「都市国家!」の報道にも、そのせいで力瘤をこめすぎたところは、あったろうか。

(国際日本文化研究センター教授)

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