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【西論】北朝鮮危機 現実見据えた議論をすべきだ

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【西論】
北朝鮮危機 現実見据えた議論をすべきだ

北朝鮮の労働新聞が8月30日に掲載した、弾道ミサイル「火星12」の発射訓練を視察し、笑顔の金正恩朝鮮労働党委員長の写真(コリアメディア提供・共同) 北朝鮮の労働新聞が8月30日に掲載した、弾道ミサイル「火星12」の発射訓練を視察し、笑顔の金正恩朝鮮労働党委員長の写真(コリアメディア提供・共同)

 ◆倒錯した理想主義

 安全保障についての健全な議論を強固に妨げるものは、何か。

 「攻撃」や「核」への感情的な反発や忌避感だけではない。戦後日本の知的土壌に、理想主義的な平和論が広く根を張った。

 戦後の知的潮流を作った知識人グループ、平和問題談話会と、その中心的な位地にいた政治学者の丸山真男について、当欄などで何度か触れた。いくつかの論点があり、ある重要な点については触れていないので改めて引く。昭和25(1950)年、談話会が発表した「三たび平和について」という研究報告の一部。原案執筆は丸山。

 「原子力戦争は、最も現実的たらんとすれば理想主義的たらざるをえないという逆説的真理を教えている」

 核兵器時代の戦争は最大の悪であり、平和を最大の価値とする理想主義的立場がむしろ現実的だと、肯定しているのである。

 昭和40(1965)年の「憲法第九条をめぐる若干の考察」では、丸山は「(9条は)現実の政策決定への不断の方向づけ」であるとした。

 理想を現実に先立たせ、現実を不断に批判していく永久運動のようなものが、ここにはある。

 こうした考え方は、戦後の平和運動に通底しているだろう。「戦争法」騒動で起こったのも、理想の側からの現実の、ときには盲目的な批判だった。

 しかし常識的に考えて、このような理想と現実の逆転は、逆説というより倒錯ではないか。戦後日本を覆ってきたこの倒錯が、いまや日本の現実の社会を危うくする段階に至っているのである。

 敵基地攻撃能力や核抑止力の議論を始めれば、メディアも含めて左派や護憲派といわれる勢力が騒ぐだろう。だが正論こそ、貫かれるべきだ。

 私たちは現実の世界に、守るべきあの人やこの人がいる。

 安全保障議論は、あの人、この人を守るために、現実を見据えてなされるべきである。   (論説委員・河村直哉)

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