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【鹿間孝一のなにわ逍遙】“伝説”に彩られた「どケチ人生」

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【鹿間孝一のなにわ逍遙】
“伝説”に彩られた「どケチ人生」

大阪マルビル会長の吉本晴彦さん=平成14(2002)年 大阪マルビル会長の吉本晴彦さん=平成14(2002)年

 宗教法人にと大阪府に届け出ようとしたが、職員から「ご神体は?」と問われて、「おごりたかぶらない心や」。本人は大真面目だったが、笑われて相手にされなかったそうだ。

     ◇

 大阪駅前に広大な土地を持ち、米国の経済誌の長者番付に掲載されるほどの大金持ちである。

 空襲で焼け野原になり、戦後は闇市でにぎわったが、しばらくして所有地に一夜にして60軒ほどのバラックの店舗が無断で建てられた。そのまま居座られては権利を主張されてやっかいだ。人を雇って強制撤去したが、それが法に触れると逮捕された。

 が、裁判では一歩も引かずに争い、不法占拠を取り締まる「不動産侵奪罪」ができるきっかけになった。「梅田村事件」と呼ばれる。

 その場所に大阪マルビルを建てた。円筒形の構造は建築費が高くなり、土地の利用法としても無駄が多いが、「大阪のキタのシンボルにする」。

 バブルが崩壊して、マルビルの経営が悪化すると、自宅を売却して私財を提供し、借金の返済に充てた。

 生き金は惜しまぬ吉本流の真骨頂だった。

     ◇

 マルビルの屋上には回る電光掲示板が設置され、産経新聞がニュースを流していた。

 大阪駅のホームからもよく見えたが、やがて周囲に高層ビルが建って隠れてしまい、役割を終えた。

 その頃から吉本さんの消息を耳にしなくなったが、突然、訃報が届いた。

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