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【銀幕裏の声】サイパン島極秘作戦 決死の胴体着陸、飛び出した兵士が自転車でB29に爆弾仕掛け…特攻覚悟、一式陸攻パイロットの証言(下)

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【銀幕裏の声】
サイパン島極秘作戦 決死の胴体着陸、飛び出した兵士が自転車でB29に爆弾仕掛け…特攻覚悟、一式陸攻パイロットの証言(下)

南洋の海に沈んだ一式陸上攻撃機=2005年、ミクロネシア連邦・チューク州のトラック諸島(水深18メートル)で(頼光和弘撮影) 南洋の海に沈んだ一式陸上攻撃機=2005年、ミクロネシア連邦・チューク州のトラック諸島(水深18メートル)で(頼光和弘撮影)

 「一式陸攻でサイパン島の基地に強行着陸後、陸戦隊兵士は自転車に乗って一式陸攻から飛び出し、B29に向かって走り、吸盤ゴムが付いた吸着爆雷を機体に張り付けて爆破するのです。そのための夜間訓練を三沢基地で私たちは行っていたのです」

 三沢には、サイパンの米軍基地が再現され、木製のB29の模型も作られていたという。

「遺書は必要なし」

 サイパン島への飛行距離は約2400キロ。味方の戦闘機の護衛なしで、積載重量限界の重い一式陸攻を操縦し、さらに敵戦闘機や艦砲射撃などの攻撃を避けながら、基地の滑走路へ近づかなければならない。

 「一式陸攻にとってぎりぎりの片道燃料。B29の駐機する敵基地上空では速度を落とせないため車輪は使わず、胴体着陸で強行着陸するしかありません。着陸と同時に自転車に乗った陸戦隊兵士を降ろす…。こんな無謀な計画が果たして成功するのだろうか」

 危険な硫黄島への物資輸送を行ってきた歴戦のパイロット、田中さんでもこう危惧したという。

 剣号作戦の決行は7月中旬に予定されていたが、敵機の空襲により延期された。そして、田中さんに下された次の出撃命令は8月19日に決まった。

 特攻命令が出た後、田中さんは覚悟を固め、淡々と過ごしていたという。

 「多くの隊員が遺書を書いていましたが、私は一行も書きませんでした。特に書く気になりませんでしたから」

 訓練飛行中に墜落する一式陸攻も少なくなかったという。常に死が隣り合わせの生活を過ごしてきた田中さんにとって、すべてを運命だと受け入れていたのだ。「私は独身だったので未練などなかったのかもしれませんね」と静かに笑った。

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