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【世界陸上】ボルト、まさかの幕切れ「名前はいつまでも残る」

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【世界陸上】
ボルト、まさかの幕切れ「名前はいつまでも残る」

男子400メートルリレー決勝で脚を痛めたジャマイカのアンカー、ボルト(中央)=ロンドン(共同) 男子400メートルリレー決勝で脚を痛めたジャマイカのアンカー、ボルト(中央)=ロンドン(共同)

 一つの時代を創った男には残酷な結末が用意されていた。生ける伝説、ボルトが有終の美を飾るはずだった男子400メートルリレー決勝。だが、左太もも裏のけいれんでまさかの途中棄権。最後まで走ることも許されなかった男の顔には、自己への失望がにじんだ。

 大会前から現役引退を公言してのレース。100メートルは銅メダルに終わっただけに、輝かしい金メダルだけを周囲も期待していた。予選は余裕の走りで通過し、「俺が感じていることは、言葉では表現できないよ」。わき上がる観衆の声援に、早くも感傷がよぎった。

 悲劇は11時間後に訪れた。スタジアムが異様な興奮に包まれた決勝。ボルトはアンカーでバトンを受けると、前を走る英国と米国の追撃態勢に入った。次の瞬間、気迫に満ちていた表情がゆがむ。左足をかばいながら前進しようとしたが、残り50メートルほどで力尽きた。

 「痛みの大部分はレースに負けた(心の)失望だ。最後の3週間は、彼にとってはきつかっただろう」。そう明かしたのはジャマイカのチームドクター。今大会は左太ももに不安を抱えつつも、観衆のために走っていたという。確かに100メートルで屈した段階から、驚異的な加速を生むピッチは鳴りを潜めていた。

 レース後、倒れ込んで動こうとしないボルトの元に、駆け寄るチームメート。失意の男は何も言葉を残さずにスタジアムを後にし、自身のツイッターに「ありがとう。みんなに無限の愛を」とメッセージを刻んだ。後輩のマクレオドは「ウサイン・ボルトの名前はいつまでも残る」。時計の針は戻せないが、希代のスプリンターの輝かしい実績と人徳は消えはしない。(坂井朝彦)

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