産経WEST

【瀬戸内家族】バーベキュー 炭火の炎囲み、昔話に子供の瞳輝く 写真家・小池英文

産経WEST 産経WEST

記事詳細

更新

【瀬戸内家族】
バーベキュー 炭火の炎囲み、昔話に子供の瞳輝く 写真家・小池英文

爽やかな風が吹き抜ける夕暮れどき、家族で囲むバーベキュー 爽やかな風が吹き抜ける夕暮れどき、家族で囲むバーベキュー

 夏の夕映えがあたりを茜(あかね)色に染める頃、庭に香ばしい匂いが漂いはじめる。

 大型コンロに炭火がくべられ、バーベキューのはじまりだ。目の前にはみずみずしい食材が山と積まれている。爽やかな風が吹き抜ける夕暮れどき、山野空海の幸に舌鼓を打つのは最高の贅沢(ぜいたく)だ。

 参加者は家族に加えて近隣に住む親戚(しんせき)や友人たち。酔うほどに会話も弾むなか、子供たちがもっとも目を輝かせるのが島の昔話だった。「学校には馬で通いよったで。一度田んぼに蹴(け)落とされてえらい目にあったわ」「昔は連絡船が待つ沖まで小舟を漕(こ)いで行ったものよ」「スズメをよう捕まえて食べたのぉ。おいしかったわ」。

 わずか五十年前のことらしいが、どれも遠いアジアの国の話のようでつい引き込まれてしまう。

 東京に戻ったらベランダに飛んでくるスズメをまず太らせよう。いや、いまどき捕まえたりしたらまずいんじゃない。そんな議論を尻目に子供らは身を乗り出し、罠の作り方を熱心に教わっている。

 きっと焚火や囲炉裏の火を囲んで、人はこうして多くのことを語り継いできたのかもしれない。今宵も炭火の炎にのびのびと心を遊ばせながら、島の長い夏の一日が暮れてゆく。

 こいけ・ひでふみ 写真家。東京生まれ。米国の高校卒業後、インドや瀬戸内などの作品を発表。今年1月、写真集「瀬戸内家族」(冬青社)を出版。ウエブサイトはhttp://www.koike.asia/

「産経WEST」のランキング