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【水中考古学へのいざない(16)】英国王の旗艦メアリー・ローズ号 威信かけた437年目の帰還

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【水中考古学へのいざない(16)】
英国王の旗艦メアリー・ローズ号 威信かけた437年目の帰還

エアダクトを使い乾燥中のメアリー・ローズ号(筆者撮影) エアダクトを使い乾燥中のメアリー・ローズ号(筆者撮影)

 1967年、歴史家のアレキサンダー・マッキー氏は考古学者らを誘って水中を探索した結果、ソレント海峡の水深約14メートルの泥の下に軍艦が埋もれているのを発見。79年、各界から寄付を募り、チャールズ皇太子が総裁を務める「メアリー・ローズ号財団」が船体の解体可能な部分を分解して引き上げた後、残りをまるごと引き上げる壮大な計画を実行。皇太子自ら発掘現場に赴き、何度も潜水して作業を視察した。

 †保存作業30年超

 82年、マッキー氏の発見から15年の歳月と3万回の潜水を経て、船体は沈没から437年目に母港ポーツマスに帰港。停泊中の艦船は、一斉に汽笛を鳴らし、かつての英海軍旗艦の栄誉をたたえたという。

 船体は脱塩処理後、水と溶剤を置き換えるためPEGを吹き付け、乾燥させて木材の崩れを防いだ。保存作業は30年を超え、気の休まる暇もなかったチームの一員は「天国だね! やっと解放されるよ」とつぶやいたという。きっと、「国の威信をかける」気構えで取り組んできたのだろう。

 発見された遺留品は約1万9千点にのぼり、16世紀当時の軍事、航海、造船技術や海員生活の文献にない具体像が明らかになった。大量の弓や矢、銃のほか、さまざまな種類の武器が備えられ、大砲も積まれていたが、帆走軍艦時代の火力では敵艦を沈めることは容易ではなく、当時最も有効な兵器はなお弓矢だった。

 メアリー・ローズ号の名称は、王のまな娘、メアリー・チューダーと王家の家紋であるバラに由来する。博物館員の1人が「展示中の青銅製の大砲にもこの刻印がある」と教えてくれた。

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