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【西論】広島・長崎「原爆の日」 北朝鮮危機と72年前の符合

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【西論】
広島・長崎「原爆の日」 北朝鮮危機と72年前の符合

2016年5月27日、原爆ドームを背に演説するオバマ米大統領(当時)=広島市の平和記念公園 2016年5月27日、原爆ドームを背に演説するオバマ米大統領(当時)=広島市の平和記念公園

 広島、長崎に原爆が投下されてから72年。今年ほど、この2つの都市が体験した惨禍が単なる過去の出来事ではないと実感させられる夏はない。

 その要因の一つは言うまでもなく、北朝鮮の核・ミサイル開発により、米朝間の緊張が極度に高まっていることだ。現実に軍事衝突が起こり、日本国内やその周辺でも核兵器が使用され、72年前の惨状が再現されるのではないか--こんな不安が確実にわが国を覆っている。

 ◆単なる過去ではない

 そもそもなぜ、アメリカは広島・長崎に原爆を使用したのか。なぜ日本はアメリカと戦争をしたのか。これらの点について改めて議論を呼びそうな記録史料が邦訳出版された。日米開戦当時のフランクリン・ルーズベルト大統領の前任、ハーバート・フーバー元大統領の回顧録『裏切られた自由』(草思社)だ。これを読むと、72年前の原爆投下の背景と、北朝鮮と中国によって日本の安全保障が脅かされている現状とが一直線につながる。「広島・長崎」はやはり単なる過去ではない。

 『裏切られた自由』はフーバー元大統領が亡くなる直前の1964年に完成したが、世論の反発を恐れた遺族らの意向により、2011年に刊行されるまで半世紀近くも封印されていた。原書は950ページに及ぶ大著で、邦訳は上下2巻。先月、上巻が出版された。

 同著でフーバーは、米国が第二次世界大戦を戦ったのは、ルーズベルト大統領の大きな誤りだとし、巨大な犠牲を払わされたうえに、ソ連を中心とする社会主義・共産主義陣営の勢力拡大を許すことになった-という歴史観を、膨大な記録や関係者の証言を引用して実証を試みている。

 「アメリカの誤り」の中には、「日本を開戦に追い込んだ」ことも含まれ、『裏切られた自由』では、ルーズベルト政権が経済制裁などで日本を追い込み、アメリカとの戦争回避を望む日本側の申し入れをいかに拒否、無視し続けたかを細かに紹介している。

 「第二次世界大戦は民主主義とファシズムの戦いであり、民主主義が勝利した」というアメリカで今でも圧倒的に支持されているルーズベルト「正戦論」を否定し、その開戦責任を問う議論は、戦後間もないころから元共和党党首のハミルトン・フィッシュらによっても唱えられてきた。その中で『裏切られた自由』は、ルーズベルトが批判されるべき大きな要因として「共産主義」を据えている点に特徴がある。

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